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熊本地震への支援活動

2016年7月

 去る4月14日の震度7の地震。さらに16日に襲った本震。

 「一度目の揺れで避難したのだけれど・・15日夕方に電気が通ったことをきっかけに家に戻ったところ・・大きな揺れと共に、ものがふってきて・・命からがらで・・また、逃げてきた。もう家には怖くて帰れません。」と…。

 「14日の揺れでは、何とか被害も少なく大丈夫だろうと思っていたけれど・・3日を経過する中での本震・・家族・職員・利用者の安否確認しつつ・・停電と断水の中で・・心が折れる・・明後日の水の確保が難しい・・」という声が聞こえてきました。

熊本地震への支援活動

 発災時に、全国規模の顔の見える関係性の施設間での防災ネットワーク、お助けネットに加入しています。「お助けネット」での意見交換をして本震発生の知らせ後すぐに物資を届けることとなりました。

 さらに23日には、人の派遣支援ということで、急遽、福祉避難所として開放された熊本学園大学に、支援に入ることとなりました。同大学では、14日から地域住民や学生がグラウンドに避難してきて、中には在宅で暮らす障がいをもった方々もおられ、福祉避難所として講堂が開放されました。昨年もライフサポート協会の研修講師としてお越しいただいたりと、普段から交流がある、鹿児島の「いろ葉」中迎さんからの連絡を受けての派遣でした。

 中迎さんによれば「熊本学園大学が、避難所として開放されたとネット上で拡散し、障がい者、高齢者が集まりだしたこともあり、教員と学生は寝る間もなく対応している。とにかく人が足りません」とのこと。

熊本地震への支援活動

 まずは、避難所においての夜勤体制を確保することでした。支援者が増えた25日からは、夜勤と日勤帯の支援です。

 日勤帯では、在宅復帰に向けて何が必要か?を意識し、ADLを落とさないようにと、地べたからの立ち上がりをダンボールベットを製作して、ご自身で動けるように環境を整えたり、リラックスしていただこうと、足湯や手浴しながら、いろんな話をきいたりと、その方にとっての必要性を汲みとるという支援。聞き取った内容は、教員につなぎ、解決に向けて動くということをしました。

 また、熊本学園大学には、市内ということもあってか沢山の物資が届いていました。学園大学の支援にとどまらず、被災者から、支援者にかわっていったリデルライトさん、学園大学をバックに、この物資を必要とされているところに届けたい。という思いのもと、学園大に支援に入ったチームと、孤立状況にあった阿蘇センター・益城の事業所を一軒一軒まわり、主に物資の困りごとに関する支援行動に移すということもしました。

 4月28日には、学園大における今後の方向も決まり、最後のおひとりまでということで、避難所の継続はされますが、避難所の閉所にむかう準備も並行して行われることにもなりました。

 幸い、各種団体の(介護福祉協会・社会福祉協会等)のボランティアも入られることとなり、5月8日には、授業も再開されるということ、ゴールデンウィーク中には、在宅復帰のめどをつけていくということもあり、「お助けネット」としては、一先ず5月5日をもって引き上げる方向となりました。5月8日には、授業も再開され、5月28日20時30分熊本学園大学避難所はその役割を終え、閉所されました。

熊本地震への支援活動

 今後に関しては、つながりをきらずに、共に支えあえる関係性を構築いくことが課題です。自分たちで、地元の方々、地元の学生を中心に、目の前の困りごとにひとつひとつ対応することが、復興への第一歩ということで、益城町の避難所でも、サロンを始められています。

 私たちの支援もとぎれることなく続きます。ライフサポート協会で集めた寄付金は、サロンの運営費にあてていただくようにとお届けいたしました。

 避難所での課題は、私たちが生業としているなか直面している課題と、同じでもありました。災害が起こる・起こらないに関わらない社会での課題でもあります。

 ライフサポート協会の実践行動指針にも示されています。

「わたしたちは、必要な情報をご本人にあった方法をもって、わかりやすい表現を用いてお伝えし、ご本人が表す言葉や、言葉以外の表現を理解し、自分のことを自分で決められるよう、何が一番良いかを一緒に考え支援します」

 本人はわかっていないから…決められないから、決めてあげるのではなく、本人が納得して決められるように、いっしょに考える手段や時間的経過を追った支援こそが、福祉職の専門性ということが示されています。(結果的に決められない場合もありますが、そのプロセスが、関わってくれているという実感につながります。)

 同じく行動指針には次のくだりもあります「わたしたちは、ご本人と、ご本人をとりまく環境や、地域住民の福祉に関わる課題についてとりくみます」

 地域生活で起こる問題は、ご本人の支援で解決するわけではありません。(環境との不調和が生活問題です)環境を整備し、地域の側にも抱える問題や課題にも視野を広げて、取り組むことが地域の中にある法人としての存在感につながります。

 被災地支援においても、考えを表現しづらい方への、自律にむけたアプローチも必要でしたし、本人支援だけでは解決しないことが沢山ありました。そのような課題に直面しながら、解決していくお手伝いができたこと、この震災でのつながりをもてたことは、いずれ、なんらかの形として、現れるであろうと思っています。

 本当の意味での幸せとは何か。幸せは、それぞれの個人によって違いはあっても、大切にされているという実感。かけがえのない、価値ある存在として、自分自身が気付き、お一人お一人が、それぞれの幸せを感じとりながら、乗り越えていける力が自分にあったと実感できる。そんなプロセスが幸せにつながる。生きていくために必要なモノや住居だけではなく、人とのつながりまで含めた地域の再生やひとりひとりが大切にされているという実感が持てるような心の復興が「真の復興」ではないかと、思いをめぐらせています。

 被災地の課題は実は私たちも含めた地域の課題でもあるのかもしれません。

いまも、住宅を失われ、避難所生活をつづけるほかない方が、沢山おられます。現場の最前線で、支援に入っておられる方も沢山おられます。無念にも亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、復興をこころより祈りつつ、私自身も、共にありたいと思っています。(なごみ総合施設長 福留千佳)

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